霊界に行ってみたら、○○なところだった…

ある日私に下った霊界からの指令。その日から、私はあの世とこの世を行き来して、霊界の問題を解決することで、この世の幸せをつくる旅をすることになった。

地獄にいる人は、何度も何度も死ぬ!? ヒぇー!…の巻【10話】

ばあちゃん、全力疾走で私の前に立ちはだかる

素順ばあちゃんの部屋で白蛇の化け物の存在を感じて、ショックを受けている私にミスターがえらく真面目な顔で言った。

 

「まぁ、現世にヤクザと呼ばれる世界があるようなもんさ。力があると思えば、それに引き寄せられていくの人間もいる。あんたのばあさん、藁にもすがりたいほどに、霊力が欲しかったんだろうな。

しかし、ヤクザの世界に足を突っ込んだ人間が、簡単に抜け出せなくなるのと同様に、霊界のブラックな力にすがった人間は、死んでからもずっとそこから抜けだせない」

 

聞けば聞くほど、私は暗くなった(-_-;)(-_-;)

 

どうすればいいのだろう?

「ミスター、どうすれば素順ばあちゃんを助けられますか?」

 

「ばあさんが、大蛇と縁を切ってもいいと本当に思えれば救える」

 

「えっ?あんな怖い化け物、誰だって縁を切りたいでしょ?地獄から出たいって、思うのが当たり前でしょ?」

 

「なら、なんで百年も地獄の6畳間にじっと座っているのさ。 縁を切りたくない理由があるんだよ。 そして、地獄から出たいと願ったこともないはずだ」

 

「ウソですよ。そんなこと!! 行って、ばあちゃんに聞いてきます!」と、いささか憤った私は、ミスターの部屋を出ようとした。すると、ミスターは、「待ちなさい!!」と、呼び止めて、これを持って行け!とお守りのような護符のようなものを私に渡してくれた。

 

 

その護符を首に下げて、私は素順ばあちゃんのところへ再びワープした。

 

ばあちゃんを気まぐれに襲う、白蛇の化け物…

 

通い慣れたばあちゃんの家。ばあちゃんは、私が来たとわかると「さっきはいったいどうしたんじゃ?」と、長火鉢の灰をかき混ぜながら、静かに聞いた。

 

私はばあちゃんに返事をしないで、スタスタと神棚に近寄り、白い塊のような霊体に手を伸ばした。

 

「や、やめて~!!」「何をするんじゃ~!!」ばあちゃんは、叫び声を上げて、すっころびそうな勢いですっ飛んできて、私の目の前に立ちはだかった。

 

「絶対に、触っちゃいけない。見てもいけない。おまえ、バチがあたってもいいのかい?」と、すっかり形相の変わった顔で、えらく早口で言う。

 

その顔は、怒りのような恐怖のようなわけのわからない感情で硬直しているように見えた。ばあちゃんのハァハァという荒い息が聞こえた。

たぶん、心臓は飛び出しそうほどに高鳴っていたはずだ。

 

どうして?ばあちゃんはなぜ、こんなに慌てるのか?いったい、この白い塊とばあちゃんの間に何があるのか?

 

私は目をつぶって、ばあちゃんの意識につながった。そして、ばあちゃんの記憶をリーディングし始めた。

 

「ギャー!」というばあちゃんの叫び声が聞こえた。大勢の大男に取り囲まれた、痩せた小さな体のばあちゃんは小突き回されていた。蹴られていた。

 

ばあちゃんの体は何度も宙を舞い、何度も転んだ。額や顎が切れて血が流れてきた。

 

やがて、いちばん大きな大男が、ばあちゃんを抱き上げて、抱きしめるような恰好になったかと思うと、大男は大蛇に変わった。

 

あの蛇だった。赤い舌でベロベロとばあちゃんの顔を舐めまわしていた。

そしてばあちゃんの体にグルグルに巻き付いて、締め上げた。

ばあちゃんは、息ができなくて「し、しぬ~」と、小さな声を上げた。

 

「死ねよ、さっさと死ねよ。ここは地獄で、お前はすでに死人よ。死んでも死んでも5秒で生き返って、また、絞められて苦しんで死ぬ。何度でも繰り返せよ。ハハハ」

 

と、蛇の化け物は高笑いをしていた。

  

私は、「そうか…。死なないんだ。いや、死ねないんだ。死んでも死んでも生き返る。つまり、死の苦しみがエンドレス!?」と、私は、ゾッとした。

ここは血の池でも、針の山でもないけれど、やっぱり地獄なんだ…と。

 

 

 

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あの世はどこにある?