ミスターは、霊界の映画村にいた!?の巻【3話】
苦しむ霊界の人々を救うための映画って!?
ミスターのいる霊界に着いた。7色の光が交差する美しい世界に口あんぐり。
でも、それは着いた瞬間だけだった。
あれ?ぜんぜん普通じゃん。ここはどこ?
そこには映画バカがゾロゾロいる世界のようだった。
もしかして、あの黒メガネの人は黒澤監督?
やっぱり、ここでも映画とってるんだー。
スタッフの人もカメラかついで、弁当持って走り回ってる。
で、ミスターはどこに?と思うと、足が勝手にずんずん動き出す。
果たして、ミスターは霊界映画村のとある建物の奥にいた。
私が部屋に入ると、TVで聞き覚えある大きな声で「ようこそ、ようこそ」と迎えてくださり、そこに座れとソファを指さされる。
で、さっそくヒアリングです。
地獄の苦しみは、自らの内側のドラマって??
「このたびは、ご依頼ありがとうございます。それで、単刀直入にお伺いいたします。なぜ、霊界アドベンチャー映画の企画をを考えられたのですか?」
「それはな。霊界の者たちを楽にさせてやりたいからだよ。
霊界にいる者は、自らの内側にそれぞれのストーリーを抱えておる。
現世界の刑事ドラマのような涙、恨み、妬み、愛が山ほどある。
だが、本人がそれに気づいておらん。
それぞれのストーリーをひも解いてやればな、その感情の大元を突き止めてやればな、霊界での苦しみが大きく減るのじゃが…
地獄におる者でさえ、そこから抜けていくこと可能なのだが、どうもそれがわからんようじゃ。
それで、アドベンチャーのような、アクションのような、刑事もののドラマ仕立てにすれば、本人にもわかりやすく、また感情の絡み合った複雑な心が解けていきやすいかと思ってな」
「なるほどー!では、ミスターが犯人を見つけて、閻魔様のところへ引き出すのではないのですね?」
「バカ者!犯人なぞおらん。どんな不幸も、どんな不運も、犯人はその者の心の内に巣くっておるのが常じゃ。 おまえ、閻魔さまがどれだけやさしいかわからんのか!!」
「わ、わかりました。わからないことだらけの私ですが、これからご指南のほど、よろしくお願いいたします!」
と、私はほうほうのていでミスターの前から立ち去った。
が、しかし…閻魔様がやさしい?? この言葉が妙に私の心に突き刺さっていた。